CLIP STUDIOで漫画を描く手順を覚え書きしてみたい。
クリスタで漫画を描く
私はイチから絵を描くのはハードル高かったので、DAZ STUDIOのレンダリング画像を元に、そこそこ見栄えのする漫画を描こうと思った。
私は絵が全然描けない。どれくらい描けないか、これを見てもらおう。クリップスタジオで、DAZ STUDIOのレンダリング画像をなぞって描いた初めての絵だ。
クリップスタジオで、ベクターレイヤーを初使用。
なかなかひどいのが出来たので、記念にアップ。
1年後に描いたものと比較しよう。描き続けていたらだけどな。 pic.twitter.com/rJoKj4Wr70— かぶき (@kabukinger) March 26, 2022
もとになったレンダリング画像はこれだ。
レンダリング画をなぞっているだけだというのに、この下手さ加減。わざと下手に描いたわけではなく、その時点での全力を出したものだ。
振り返ってみると、以下の点がダメ。
- ベクターレイヤーではなく、全部ラスターレイヤーで描いてたので、線がガタガタで強弱がない
- 解像度が低いキャンバス(1000×800)とかで描いてたので、線がギザギザ
- 主線を適当に選んでいるので、立体感がない
- トーンや定規などを使わず、素人のフリーハンドなので汚い
世の中には「はじめて描いてみました。ヘタで恥ずかしいです」と言いながら、お前、めちゃ上手いじゃねえかよ嘘つきって人が山ほどいるが、そういうのとは対極といえよう。
そこから1週間くらい練習してできたのがこの絵。すごくない?縮小したら、それほど違和感ない絵になっているもの。
ただし、レンダ絵をなぞって1時間くらいかかった。
今見ると、「歯がなんかおかしい」「首の線を書き忘れてる」「帽子の形状がよくわからない」という欠点はあるものの、パッと見てそれほど違和感がない出来上がり。
方向性をちょっと変えて、レンダ絵をいかしつつ、3Dくさい部分だけ手描きしようかななどと試行錯誤した。初めてクリスタ触ってから2週間半ほどで描いたのがこちら。
基本的に、絵をうまく描くための練習はせず、ひたすらクリスタの上手な使い方を調べまくって、クリスタの機能で見栄えを良くしている。
レンダ絵を流用すると楽だけど、やっぱり漫画に寄せていきたいなぁ。
3週間が経った。1枚描くのに時間はかかるけど、これくらいの絵なら違和感なく漫画が読んでもらえそう。
1ヶ月後、漫画として仕上げたのがこちら。
だいぶ漫画になってる。ただ、まだまだフィーリングで描いてる部分があるので、漫画のセオリー的なものを取り入れて、違和感ないレベルにはしていきたい。
なお、絵を描くために、中古の液晶タブレット(中古価格7,980円)を購入したけど、クリスタを使えばマウスのみでもイケそうな気はする。
迫力に欠けると思ったので、怒り顔も練習。DAZ STUDIOで「怒り顔」をサッと作り、顔の謎筋肉や顔上半分の不穏な影、白目、目が光っているような漫画エフェクトを入れてそれっぽくした。
こちらは女性の怒り顔。無表情+目が笑ってない系の底知れない怒り。怒りにも色々ある。
2ヶ月経った。ネーム(マンガのストーリーの骨組み)を作って、16Pのマンガを仕上げ中。いま、8Pまで完成。
クリスタの漫画の機能と描き方
クリスタには非常に多くの機能があるけど、漫画を描くのに必須な機能と描き方の手順を紹介しておこう。
「DAZ STUDIOのレンダ画をベースに漫画を描く手順」だ。モノクロで、塗りはトーンとベタ、ホワイト(白のベタ塗り)のみ。
- コマ枠
- 線画取り込み
- フキダシとセリフ
- ベクターレイヤー
- 連続曲線
- 制御点の編集
- トーン機能
- ベタ塗り機能
なお、以下の画面説明では、設定を変えて「液タブ用にアイコンを大きく」している。
クリスタの原稿の設定
ファイル→新規で、クリスタの原稿設定が開く。
作品の用途は「コミックか同人誌入稿」、モノクロ漫画の場合は解像度を600dpiにするのがお約束っぽい。
600dpiにしないと、紙に印刷したときにトーンにモアレ(変な模様)ができてしまうのだそう。ウェブ漫画にする場合も、最初は紙前提の設定にしておいて、あとから解像度落とすとかにしたほうがキレイかもしれないな。
また、モノクロやグレースケールにすると「消しゴム」の「練り消しゴム」など、柔らかく消す機能が使えなくなるっぽい。カラーで作っておいて、出力時にモノクロにするほうがいいかも。
紙に印刷する漫画を制作するなら、クリスタのグレードはEX一択かな…。がんばればPROでもできないことはないかもしれないけれど。
関連 クリスタの値段
なお、ウェブ漫画を作る場合でも、ピクセル数はかなり大きくしておいて、出力時に縮小したほうがキレイに見える。
「クリスタで漫画を書くと、線がギザギザになる」という人は、原稿設定で解像度を大きくすれば解決だ。
「イラスト」として新規作成する場合は、解像度を350(dpi)に、サイズをA4に指定しておけば、まあ無難だ。
というのも、クリスタのツールや配布されている素材のサイズ感は、この解像度を前提に作られているため。原稿設定を荒い解像度にしてしまうと、トーンやらブラシやらがデカすぎる…ということになってしまうのだ。
クリスタの漫画の枠指定
新規作成時に「テンプレート」を選択すると、コマ枠が設定される。
しかし、すべてのページに同じコマ枠が設定されるので、4コマ漫画以外はテンプレートを指定せずに、あとからページごとにコマ枠設定したほうがいいだろう。
- 原稿の特定ページをダブルクリック
- 素材「すべての素材」アイコンをクリック
- 漫画素材→コマ割テンプレートクリック
- コマ割りテンプレートを選ぶ
- 「選択中の素材をキャンバスに貼り付けます」ボタンをクリック
- 原稿にコマ割りが適用される
素材に思い通りのコマ割りがあるとは思えないので、結局、自在にコマを割るためにはコマ割りツールを使うことになるのかな…。
コマ割りツールの使い方は別記事に書きたいと思う。
クリスタのストーリーエディタ
漫画のセリフを一括管理できる超便利なやつ…のはずが、「使い勝手が悪い!」という声も多い。EXのみの機能。
荒木飛呂彦先生の漫画術によると、ストーリーを最初から最後まで俯瞰してみることは必須なのだとか。
関連)Amazon.co.jp: 荒木飛呂彦の漫画術【帯カラーイラスト付】 (集英社新書) eBook : 荒木飛呂彦: 本
荒木飛呂彦先生は、ノートやスケッチブックなどアナログなアイテムを利用されているそう。
クリスタのストーリーエディタは、ページ管理→テキスト編集→ストーリーエディタを開くで起動できる。
ページごとにセリフを入力していく。改行2回で別のセリフになるという独特な操作方法が採用されている。
各ページを開くと、上部にセリフが別オブジェクト化されてズラリと並ぶ。オブジェクトツールなどでいい位置に配置するというわけだな。
メモ帳などで書いたテキストをコピペして「流し込む」こともできる。
ただ、このストーリエディタ、「ページごとにコピペ」する必要がある。多少操作を楽にする以下のような「支援ツール」もある。
クリスタの漫画用のペン設定
漫画用にペンを設定する方法を覚え書きしておきたい。
まず「アンチエイリアス」は、線がギザギザにならないよう、いい感じにボカしてくれる機能。ラスターレイヤーの場合のみ有効。
手ぶれ補正は、サッと線を引いたときに、キレイになるよう補正してくれる機能…なのだが、私のような素人が使っても、そこまでキレイに補正してくれなかった。
ベクター吸着は、ベクターレイヤー専用で、線の端と端がある程度近いと自動的にくっつけてくれる機能。スナップ機能というか。くっつけの強度を変えられる。
ブラシの入りと抜きは、書きはじめはだんだん太く、書き終わりはだんだん細くする機能で、素人でも「生きた線」が描けるという便利機能だ。
なお、右下の「スパナ」マークをクリックすると、他にも細かく設定ができるようになっている。
「連続曲線」を使うほうが、トレースは楽
色々試行錯誤したところ、元絵ありきでトレースする場合は、ペンを使わずにマウス操作で「直接描画」ツールの「連続曲線」でなぞっていったほうが、簡単で早いと思った。
なにかの拍子に「曲線」タイプを切り替えてしまうことがあるので、「なんか曲線の操作感がおかしくなった…」とおもったら、ツールプロパティの曲線をチェックしよう。線の入り抜きも設定できる。
トレースのコツとしては、一筆書きっぽく一発で線を書こうとせずに、複雑な曲線は単純な曲線に分割して描き、あとから不要線をベクター消しゴムで消す。そうしたほうがキレイに仕上がる気がする。
以下はペンタブレットを使わず、マウスのみで描いたものだ。
効果線や背景などキッチリした線を引きたいときは定規機能を使うと便利。
関連 クリスタのパース定規
クリスタのマンガの塗り方(髪など)
塗りの基本はこちらの動画。
塗りと塗りのこし対応は、この動画がわかりやすいかも。
なお、バケツツールは、「タブレット用」のアイコンに変えているばあいはこちらになる。
漫画の髪の塗り方はいろんな手法があるけども、私のような素人にはとても難しかった。そこで、技術がなくてもそれっぽく見える塗り方を3つ。
まずこれ。バケツツールなどで、黒で塗りつぶしてから、ラスターレイヤーを作り、「下のレイヤーでクリッピング」してから、顔に近い部分を白のカケアミ(薄)でサッと塗ると、すんごくきれいな髪になる。
第二の髪のパターンは「塗らない」最低限の影だけをトーンでつけて、金髪っぽい感じにするというもの。毛束を多めに書き込めば、まあまあある程度の立体感は出せる気がする。
第三の塗りは、「毛束」を描いて、トーンなどで塗りつぶしてから、毛束に沿ってザッと「消しゴム(柔らかい)」でツヤ出しする。これもまあまあな茶髪感。
関連 クリスタのトーン
クリスタの漫画の吹き出しの書き方
吹き出しは、吹き出しツールで簡単に書ける。
「楕円フキダシ」「角丸フキダシ」が基本で、「曲線フキダシ」「フキダシペン」は、自由な形のフキダシを作成可能。
楕円を2つかさねると、いい感じに一体化してくれる。
フキダシ上に、テキストツールで文字を書き込めば、セリフのできあがり。フォントの指定はデフォルトだと、MS明朝とかになっちゃうので注意。
そのほかの吹き出し技は、別記事にまとめた。
関連 クリスタの吹き出し機能
クリスタのトーンのおすすめ
クリスタのトーンは、レイヤーパレットで右クリックして、新規レイヤー→トーンを選択するとできる。
最初は新規レイヤー全体にトーンが塗られた状態になるので、Ctrl+A(全部選択)、Deleteキー(削除)、Ctrl+D(選択解除)を押していったんトーンを削除したほうがいいかも。
ブラシで塗ると、以下のようにトーンが貼られる。
トーンのパターンは、レイヤープロパティの「トーン」の「網の設定」で変更可能。
手書き風のトーンなども配布されているので、試してみると良いかもしれない。
クリスタで漫画 まとめ
- 色々試行錯誤した結果、私がウェブ用漫画を描くときに気をつけているポイントを描いておこう。
- 漫画原稿の設定は、カラー、横4000px。元絵のレンダ画が小さい場合は、拡大する
- 間違えて元絵に描き込みしちゃうことが多いので、元絵のレイヤーは「ロック」しておく
- トレースは、曲線ツール+マウスでやったほうがキレイ&早い
- できるだけ「レイヤー」に分ける。はみ出し防止に、パーツごとにバケツツールで「仮塗り」して、「下のレイヤーでクリッピング」を使うと、対象範囲をはみ出すこと無く、カケアミなどの模様を載せられる