ついに、モデリングソフトなしで肉の食い込み表現が可能になった。
Mesh Grabberは、DAZ Studioのシーン内でフィギュアやプロップのポリゴンを直づかみして動かせるツール。基本機能D-Formerの進化版と言えるだろう。
追記)回転アドオンが追加発売された。
これにより、頂点移動が並行移動だけでなく曲線を描く「回転」が可能になった。肉は見出しを作る場合など、フィギュア本体のポリゴンの流れ(頂点の並び)を服のポリゴンに合わせる場合などに有効かも。
関連)Mesh Grabber Rotations Add-On (Mesh Grabber用回転アドオン)
「服のはみ出しを簡単に治せる」とか作者は言っちゃってるが、私は尻に下着や水着がムギュウと食い込んでいる様を再現するために買った。そういうエロ目的じゃなきゃあ、こんな高い値段が成立するものか。
▲最近作った食い込み尻。まだまだ!
作者は、ManFriday氏。人間金曜日…?
フォーラムでも、「素晴らしい!ほんとうに必要です!買った!」という賞賛の声が乱れ飛んでいる。
「これは、本来DAZ Studioのデフォ機能にあるべき!」という声も。
いったい何が出来るのかチェックしてみよう。
Mesh Grabberで出来ること
服の貫通を簡単に修正できる
フィットが甘かったり、極端な体型で着せた服は、身が貫通しまくることがある。
これを修正するには、モーフをチマチマ直すか、一箇所ごとに1つDformを設定して修正するしかない。そういう気が遠くなる作業が必要だったのだ。
しかも、Dformはフィギュアがゼロポーズではない場合に制御がメッチャ難しい。何がどう変形するのかわからないのだ。
それが、Mesh Grabberを使えば、気になるところをチョイとつまんで、直感的にクッと動かせば即解決!まあ便利なんだけどさあ、そんな目的でこのツールを買う人は、少数なんじゃないのの?
変形の「フォールオフ」タイプは、7種。
ちなみに、押すことも引くこともできる。
BlenderのGrabツールを参考にしているそうだ。
手を肌に食い込ませる
エロ目的でやりたいのがこれ。
掴んだ手の間から、柔らかい肌がムニュッと盛り上がるくらいのことはできそうだ。
フォーラムでは、「ガラスに押し付けられた手」(ガラスから手がはみ出すのを修正)を試している人がいた。
下着が食い込む
とりあえず試してみた。
方針としては、尻周辺の肉のポリゴンの流れを、水着のフチにだいたい合わせてから、肉の盛り上がりと凹みを作るというもの。
試作一号がこれ。うーん、もうちょっとモニョッ!という感じを出したい。
なお、尻ポリを調整するには、WireTexturedというプレビューモードが、軽い上にポリゴンの流れがわかって作業しやすい。
こんな感じに、水着のフチ(赤いところ)に合わせて、ポリゴンの流れが沿うように尻肉を調整していく。
回転アドオンがあれば、さらに操作が楽かも知れない。
盛り上がりを表現するためには、2エッジくらいあればいいかなと思ったけど、もう一工夫必要かなぁ。
食い込み尻の描画が異常に上手い桂正和作品をチェックすると、以下の様なことがわかった。
- 正面から見える部分は食い込み感が実感しづらい
- 食い込み箇所が横向きシルエットになる箇所で、食い込み感をアピールする
- パンツのシワ(正和ジワと呼ばれてるらしい)を加えると、より食い込み感アップ
これらを踏まえて試作したのがこれ。まだまだ改良の余地はあるけど、まあまあ食い込んでいるんじゃないだろうか。
パンツを引っ張る
Mesh Grabberは、服を摘んで引っ張るということが可能。
dForce Magnetのようなことが、物理演算ナシでできるのは素晴らしいかも。むしろ、手動で形をつけられるので、物理演算に沿った形よりも感情に訴えてくるものがある。(うまくできれば)
ポーズ適用後、モーフ適用後のポリゴンを直感どおりに変形できる。DAZ Studio基本機能のDformだけだと、これまではほぼ無理だったのだ。
ひとまず、食い込んだ水着を直している状況を作ってみた。
水着内部の指先に当たる部分は、Falloffの形状をSharpにするとそれっぽくなった。
ニーハイむっちり太ももを作る
服:SteamStar Outfit for Genesis 3 Female(s)
こういう、ニーハイ形状の服ってよくあるけど、肉の食い込み要素が全くないものがほとんど。
いったん太もも周辺をニーハイにはみ出すくらいに変形させて、はみ出た部分を押しこむという方法でやってみた。
うーん、これだと単に太った人みたいだなぁ。改良の余地、多分にあり。
髪をモーフを使わず変形
髪には、多彩なモーフが設定されていることが多いが、このツールを使うとモーフなしの髪を自在にスタイリングできる可能性が!
例えば、重力に沿うように髪を変形させる場合にも、対応するモーフを探しまくらなくても済むのだ。
試しに、dForceが使えないパソコンなのに間違えて購入したdForce髪に使ってみよう。
髪:Bang Bob Hair with dForce for Genesis 8 Female(s)
フィギュア:Reine
プロモ画を見ると、とても良い髪なのだがdForceが使えない環境では上記のように寝起きの爆発髪のように大きく膨らんでしまっている。
これを、Mesh Grabberでちょいちょいと整えると…。
なかなかいいじゃないか!
髪の調整は、こんな感じの設定で大雑把に行う。
最初は、Falloff radius(影響範囲)を7~10くらいに、Gain(変化度合い)は100%に、Falloff type(影響範囲の形状)は、Smooth curveにしておき、適当なvertex(点)を1つだけ選択して動かしていくのがいいだろう。
falloff typeを「Random」にして、髪を上方にひっぱりあげたら、こんな感じに。使い道は…あるのかなぁ。
変形後のポリゴンをモーフ化
好き勝手にDAZ Studio内で変形させた状態をモーフとして保存することが可能。
変形ポリゴンをOBJエクスポートして、DAZ Studioで再インポートするという手順で実現できる。将来、この手順を簡単にする「スポーンモーフ」機能が組み込まれる予定だとか。
アニメーションに使える?
変形後ポリゴンをOBJエクスポート→モーフとしてインポートで、モーフ化したら、モーフの変形アニメーションとして使うことは可能。
Mesh Grabberでできないこと
頂点の追加はできない
すでにあるポリゴン頂点の移動はできるけども、頂点自体を追加することはできない。
モデリングツールで、モーフを作成する手順が、DAZ Studioだけで完結するようになる、と考えると良いと思う。
オブジェクトの非破壊的変形ができる、と言えばいいのか。
選択箇所の保存ができない
モデリングツールのように、選択した箇所を記憶しておく機能はない。まあでも、これはそれほど困らないかな?
Mesh Grabberの使い方
機能の呼び出し方から、ざっくりした使い方まで手順を覚書しておこう。
画面上部のメニューから、Tools→Mesh Grabberで使えるようになる。Alt+Shift+Eでも可。
Window→Panes(Tabs)→Tools Settingsで、Mesh Grabberの設定画面が出てくる。
対象物をSceneタブで選択状態にする。
変形させたい箇所をなぞる。
- Ctrlを押しながらなぞると、すでに選択した領域になぞった領域を追加
- Altを押しながらなぞると、なぞった領域を非選択に。
- Ctrl+ALTを押しながらドラッグで、選択状態は変えずに視点を回転
- Ctrl+Shiftを押しながらドラッグで、選択状態は変えずに視点を平行移動
- Shiftを押しながらだと、クリックしても選択状態が変わらない
↑のはずだが、そのとおりにならないケースがある。なぜだ。
3色の矢印(ギズモ)をドラッグで、選択箇所を変形する。
なお、Shiftを押しながらギズモをドラッグするようにすると、矢印を選択しそこなって対象物のポリゴンを選択しちゃっても、現在の選択状態が解除されない。
Tool Settingsで、影響範囲の形状を変えられる。変形の仕方が変わる。
ざっくりこんな感じ。
なお、Parameterタブで、SubDレベルを高くするとポリゴンが細かくなって、変形がキレイになる。ただし、動かせるポリゴンや頂点は、デフォルトの細分化前のポリゴン、頂点のみ。(SubDしても、操作できる対象が細かくなったりはしない)
もうちょっと使い込んでみたい。
Mesh Grabberをメニューに表示する方法
Window→Workspace→Customizeを選択
左側でViewport Tools→Mesh Grabberをドラッグして、右側のToolBarsタブにて、好きな位置にドロップする。
Applyをクリック。
Mesh Grabberのアイコンは、握った拳みたいなやつ。
メニューに出てきた。
Mesh Grabberのちょっと残念な点
「つかんで移動させる」機能が、やや面倒。
- ポリゴン(または、エッジ、頂点)を選択
- ギズモをドラッグして移動
…という2アクションが必要だが、できれば、
- ドラッグしたら、一番近い頂点を勝手に選択してドラッグ操作で移動
して欲しい。HexagonのTweakモードみたいなやつ。
プロップタイプの編集時、ギズモの出現位置がおかしい
※修正済み。Daz Install Managerから、アップデートしよう。
これは、製作者も認識している不具合。フィギュアのポリゴン編集は問題ないけど、プロップ(小道具)タイプを編集しようとすると、変な位置にギズモが出る。
この現象に「ギズモワープバグ」とでも名前をつけておこう。
今後実装される予定の機能
ミラー(対称)と、フリーズが実装されるらしい。らしいけど、アドオンとしての別売りになる可能性もあり。
フォーラムでは、「回転変形」「スケール変形」「マスク機能」などの要望があった。
まあでも、搭載予定のものに必要以上に期待するのもなぁ。ひとまず、今できることだけで考えたいと思う。