DAZ Studioには、Iray Server連携という魅惑的な機能があるので、試してみた。
結論から言うと、Iray Serverを動かすことに失敗して、挫折した。
- DAZ StudioからIray Serverに連携できるかを検証してみよう!
- 2019年現在、主要レンダリングファームではIray Serverは対象外になっている。
- Iray Serverのトライアル版はNVIDIAから移管され、別会社でダウンロード可能。
- Googleクラウド環境で動かそうとしてみたら、ライセンスエラー。クラウドでの実行には対応していないらしいとわかった。
挫折するまでの記録を、いちおう記録しておく。
DAZ StudioのIray Server連携
Render Settings→Advanced→Bridge[BETA]にIray Server連携用の設定がある。
どう連携するのか…外部のサーバにIrayレンダリング処理を任せてしまえるため、パソコン自体は低スペックでもサクッとレンダリングが完了するという(想像通りに行けば)夢の様な仕組みである。
ただし、サーバ-クライアント(自分のパソコン)間は、それなりに通信量が多くなりそうなので、クラウド上の仮想マシンとかに入れても遅くてダメな感じがする。たぶん、ローカルネットワーク(LAN)内でIray Server用のマシンを設置して動かす想定のものだろう。
トライアル版をダウンロードしてみる
Iray Serverは、ライセンス費用が年間300ドルくらい。トライアルができそうだったので試してみた。
Iray Server Rendering. Networked 3D rendering from Lightworks
いまは、Iray Pluginsという会社が運営しているっぽい。上のページの右上から「Try」を選ぶ。
Iray Serverは、Windows版とLinux版がある。名前とかは、割と適当に書いても大丈夫っぽい。
必要事項を記入すると、ダウンロードURLつきのメールが送られてくる。
「here」のところのリンクが、ダウンロード用のURLだ。
ファイルがなんと2ギガある。
今回はGoogle Cloud PlatformにUbuntu(Linux)の仮想マシンを立ち上げてインストールだけしてみようと思った。だが、2ギガのダウンロードがまるで終わらない。
しょうがないので、仮想マシン上でwgetして、Iray Plugins社-仮想マシン間で直接ダウンロードを試みる。速かった。
仮想マシンのターミナルで、下記のように実行。ダブルクォーテーションはちゃんとつけて、<メールで送られてきたURL>の部分は、メールについてきたURLと差し替えて欲しい。
wget "<メールで送られてきたURL>"
ダウンロード後のファイル名が変な感じになってたので、適当なフィアル名にリネームした。tarコマンドで解凍。
tar xvzf ファイル名
展開後に現れたシェルスクプトを実行する。
./start_iray_server.sh
エラーが出た。
[Thu, 28 Nov 2019 06:04:56] 1 IRAY_SERVER | libGL.so.1: cannot open shared object file: No such file or directory Error in file iray_server_application.cpp, line 109.
libGL.so.1というライブラリがないよ、というエラー。apt-getでインストールする。
apt-get install -y libgl1-mesa-dev
ファイルが作れない、というメッセージが出ていたので、sudoでroot権限にして動かす。
sudo ./start_iray_server.sh
エラー解消、次のようにずらずらとメッセージが流れ、なにやら動いている雰囲気。
[Fri, 29 Nov 2019 11:01:36] 3 IRAY_SERVER | [RLM] Checking out RLM license "iray_server"
[Fri, 29 Nov 2019 11:01:38] 2 IRAY_SERVER | RLM license not active
[Fri, 29 Nov 2019 11:01:38] 3 IRAY_SERVER | No active RLM retail license found
[Fri, 29 Nov 2019 11:01:38] 3 IRAY_SERVER | Trying to use Flex license...
[Fri, 29 Nov 2019 11:01:38] 3 IRAY_SERVER | Authentication with Flex failed: auth. result 1, is_flexnet 0
[Fri, 29 Nov 2019 11:01:38] 3 IRAY_SERVER | Trying to use RLM trial license...
[Fri, 29 Nov 2019 11:01:38] 3 IRAY_SERVER | [RLM] Checking out RLM license "iray_server_trial"
[Fri, 29 Nov 2019 11:01:40] 2 IRAY_SERVER | RLM license has expired 19 days ago
[Fri, 29 Nov 2019 11:01:40] 3 IRAY_SERVER | Releasing Application instance...
[Fri, 29 Nov 2019 11:01:40] 3 IRAY_SERVER | Neuray has not been started...
[Fri, 29 Nov 2019 11:01:40] 3 IRAY_SERVER | Releasing neuray...
[Fri, 29 Nov 2019 11:01:40] 3 IRAY_SERVER | Unloading neuray library...
trial licenseを使おうとしたけど、残念、ライセンスは19日前に切れていますよ、というメッセージ。その後、サーバ起動をやめて終了してしまったようだ。
その後「Iray Serverはクラウドには対応してない」という情報をフォーラムで見つけた。がっかり。
参考)İray Server on google cloud vm
NIMBIXで動かして!
フォーラムによると、DAZ Studioのレンダリングをするんなら、NIMBIX上でIray Serverが動くから、そっちを利用して!と書かれていた。
なんだ、NIMBIXって。ニンビックス?
少し調べてみると、どうやらNIMBIXは法人向けの仮想コンテナ型アプリ提供会社ぽくて、利用料金は「要見積り」みたいになっているのだった…。
HyperHub™ Application Marketplace | Nimbix
いやいや、そんな本格的なヤツじゃなくていいんだよ。1,000円くらいでお試しできるレベルのやつを期待していたんだよ。
そんなの使うくらいなら、新しいパソコンを買うよ。
…というわけで、中断。
主要レンダリングファームは、もはやIray Serverに対応していない?
レンダリング用の外部サーバサービスは、2017年頃だとIray Serverにも対応していた。しかし2019年現在、主要なレンダリングファームのサービスからは、Iray Serverがなくなってるっぽい。
どのくらい有名かしらないけど、「Iray Render Farm」とかですぐ見つかる「FORRENDER」というサイトを見てみよう。
Online rendering from 0.0038$ per hour – FORRENDER
3DS MaxとかMayaとか、Houdiniとかの対応ソフトウェアをクリックするとレンダー名が出てきた。
Corona、V-Ray、Mentral-Ray、Octane、Redshiftなどなど、どのくらい有名かは知らないけど大手っぽいレンダー名がずらり。だけど、Iray Serverは居ない。
調べてみると、2018年ごろにNvidiaがグラボをデータセンター等で使用する場合のライセンスを変えたのが原因のよう。レンダーファーム側で高額のライセンス費用が発生してしまうため、運用できなくなったのが理由のようだ。
一般人のゲーム用途を想定したグラボ価格なのに、サーバに何個も挿して大きなビジネスに使うのは許せない!みたいなことっぽい。
ライセンス費用引き上げのため、誰からも使われなくなってしまったNvidiaのIray Server。何がしたかったのか…。
Iray Serverのマニュアル
PDF版とHTML版があった。
PDF版)nvidia_iray_server_user_and_admin_guide.LTR.pdf
HTML版)NVIDIA Iray Server – User’s and administrator’s guide
HTML版は、クロームなどで見ると「日本語に翻訳」が使えるのでスイスイ読めて便利だ。