DAZのfilament toonシェーダー
適用するといいカンジにアニメ調にしてくれるシェーダーだが、仕組み的なところをざっくり覚書しておきたい。
過去のDAZが言う「アニメ」とは次元が違って、ちゃんとアニメを見慣れてる人がチェックした感じの画像が出せる。Filatoonはそこが素晴らしい。
でも、モデルとかテクスチャの選び方では、やっぱりブキミな代物ができあがるようだ。
Toon Alchemy Bundle for Genesis 9 Toon
↑作者の人には悪いが、デフォルメ命のアニメにリアルなディティールを入れようとして、ブキミになってしまった悪い例
適用したらアニメ調になるってことを知っていれば使えるのだが、まあ一応。
FilaToonは、Daz Studioに搭載されているFilamentレンダーエンジン専用に開発された新しいシェーダーシステム。このシステムの最大の特徴は、リアルタイムでアニメ調の表現が可能で、高速なレンダリングができるというとこ。
技術情報をかき集めてみると、こんなカンジ。
シェーディング制御
- 影の濃さや階調を細かく調整可能
- リムライティングとLUTのサポートによる立体感の演出
- 発光効果やブルーム効果の追加が可能
リムライティングとLUTって、全然知らない技術が出てきたな…。
輪郭線表現
- モデルに対して自動的に輪郭線を生成
- 線の太さや色を自由にカスタマイズ可能
- 背面法を応用したハリボテ式の輪郭線表現を採用
背面法…?たぶん、背後から光をあてて、輪郭線が浮き上がるみたいなことを指してるんだと思うけど。
レンダリング設定
- ViewPort指定でのレンダリングが基本
- OpenCLと比較して、より高速な処理が可能
- カメラのDOF(被写界深度)機能は使用不可
レンダリングしなくっても、プレビューで使えるってことかな。DOFはまあ、アニメ表現にはあんまり関係ないかも。
最適化された使用方法
- Genesis 9専用のトゥーンシェイプが用意されている
- Basic FilaToon Environmentによる基本ライティングの設定が可能
- 既存のモデルへも適用可能だが、最適化が必要な場合がある。というか、イマイチな結果になることがほとんど。
Basic FilaToon Environmentっていうデフォのライト設定を使うといい感じになる、ということ。
技術的な制限事項
- 光源の位置によっては、鼻などの細かい輪郭線が消失する場合がある
- ボケ効果は直接的には実現できず、後処理での対応が必要
- Filamentレンダラー専用のため、他のレンダラーでは使用不可
鼻は消えがち。リアル調レンダリングで使える機能がうまくできない、という点はあるけどアニメ調表示が素晴らしいのであまり気にならない。
リムライティングとLUTってなんのこっちゃ?
3D技術的には、既存の技術らしいのだが、私は初めて知った。
一応調べた。
リムライティングの効果
リムライティング、背後から光が当たって後光がさすような表現をするやつ
後光の強さパラメータを動的に変化させるといろんな見え方が作れて面白い。 pic.twitter.com/rLv8rX5m30— 無職 (@ProgPuyan) February 11, 2021
基本的な仕組み
リムライティングは、被写体の輪郭部分に光を当てる照明技法。以下のような効果がある。
- 被写体と背景との境界線を明確に分離
- 物体の形状や輪郭を強調し、立体的な印象を与える
- 視覚的な奥行きを生み出す
技術的な実現方法
- 被写体の後方から光を当てることで、エッジ部分に細い光の線を作り出す
- 視線ベクトルと法線ベクトルの角度計算により、輪郭部分の光の強さを制御
まあ、これはなんとなくわかる。
LUTによる立体感強化
ChromeならHDRで見れるやつ
推しの子一期、一番の見せ場。流石は動画工房 桒野貴文。素晴らしい撮影。
光の表現、見事としか言いようがねぇわ。LUT使ってSDRの枷外してやるだけでここまで化ける。アニメの光の表現はもうこのレベルまで極まってんのよ。
最後の一工程が足りてないだけなんよ pic.twitter.com/dvsK1mp3Ga— genuine HDR colour (@ColourHdr) June 29, 2023
LUTの役割
LUT(ルックアップテーブル)は以下の要素をコントロールすることで立体感を向上させる。
- 彩度とコントラストの調整
- カラー値の変換による陰影の強調
- 色調のバランス調整による空間認識の向上
まあわかんないんだけど、空気感みたいなものを変えるためのもの?
うまく使うと、実写画像もアニメっぽくなるみたい。
PremiereProだけでアニメっぽいカラーグレーディング
5種類のLUT完成しました
調整用のエフェクトプリセットも付属
他のソフトでも利用可能です pic.twitter.com/J718ieh32j— morisuku (@morisuku_kazi) September 3, 2024
立体感が生まれる理由
視覚的な要因
エッジ強調効果
- リムライトにより物体の輪郭が強調され、前後関係が明確になる
- 背景との分離が促進され、被写体の存在感が増す
光と影のコントラスト
- リムライティングによる輪郭部分の光と影のコントラストが、形状認識を助ける
- LUTによる適切な階調表現が、奥行き感の知覚を強化する
このように、リムライティングとLUTの組み合わせは、物理的な光の効果とカラーマネジメントの両面から立体感を演出する効果的な手法となっているようだ。
立体感を出しつつ、色の印象も制御できるってことだな。
まとめ
まあ、結局リムライティングもLUTも完全には理解できなかったんだけど、3Dをアニメ調表示するための手法としては、確立されつつあるっぽい。
TVアニメにも、違和感ない3DCGが使われているというし、そんな技術がDAZ STUDIOで使えるようになったのは嬉しい限りである。
まあ、このページに書いてあるようなことを知らなくてもダブクリでシェーダー適用すれば使えるんだけど、いずれ役に立つかもしれないので覚書として残しておくことにする。