ターザン歴代俳優変遷
ターザン初代王者ジョニー・ワイズミュラーの黄金時代
ターザン映画史において最も輝かしい時代を築いたのが、元オリンピック水泳選手のジョニー・ワイズミュラーです。1904年生まれの彼は、水泳選手として数々の金メダルを獲得した後、1929年にモデルとして映画界に足を踏み入れました 。
1932年の『類猿人ターザン』でターザン役に抜擢されると、その筋肉隆々の体格と完璧なイメージで世界にセンセーションを巻き起こしました。原作者エドガー・ライス・バローズも喜んだという記録が残っており、まさに理想的なキャスティングだったと言えるでしょう 。
🏊 驚異的な契約条件
- メトロ・ゴールドウィン・メイヤーと7年契約を締結
- 12本のターザン映画で推定200万ドルを稼ぐ
- ターザン役では最も有名な俳優として名声を確立
ワイズミュラーの代表作は1934年の『ターザンの復讐』で、誰もが認めるターザン映画の傑作として評価されています。モーリン・オサリバンとのコンビネーションも素晴らしく、水中でのたわむれシーンは映画史に残る名場面となりました 。
参考）https://ameblo.jp/nostalji/entry-12724967985.html
興味深いエピソードとして、戦後の上映版では一部のシーンがカットされており、筒井康隆や小林信彦といった著名人も言及しているほど話題となりました 。
ターザン継承者レックス・パーカー時代の特色
ワイズミュラーの後を継いだレックス・パーカーは、1950年代のターザン映画を支えた重要な俳優です。パーカーは全部で5本のターザン映画に出演し、1953年の『ターザンと巨象の襲撃』が最終作となりました 。
参考）ターザンと巨象の襲撃 – 映画情報・感想・評価(ネタバレなし…
パーカー版ターザンの特徴は、より洗練された演技力と現代的なアプローチでした。象牙を狙う悪人ハンターたちとの戦いを描いた作品では、現地部族を荷役人として攫う敵に立ち向かうターザンの正義感が強調されています 。
📽️ パーカー時代の革新
- より現代的で洗練された演技スタイル
- 5作品で一貫したキャラクター像を構築
- ワイズミュラーとは異なる魅力で観客を魅了
1950年代の映画界では、戦後復興とともにエンターテイメントに対する需要が高まっており、パーカー版ターザンはそうした時代背景に適応した作品群として評価されています 。
参考）https://ameblo.jp/asukagirara/entry-12867062116.html
ターザン現代版マイルズ・オキーフの挑戦と評価
1981年の『類猿人ターザン』で注目を集めたのが、マイルズ・オキーフです。1954年テネシー州生まれの彼は、元々フットボール選手として活躍していましたが、ハリウッドで俳優に転向しました 。
オキーフの起用には興味深い経緯があります。当初はリー・カナリートがターザン役に決まっていましたが、撮影初期に解雇され、スタントダブルとして参加していたオキーフが急遽主役に抜擢されました。1960年代にターザンを演じたジョック・マホニーがスタントコーディネーターを務めるという、ターザン映画史の継承も見られました 。
参考）類猿人ターザン (1981年の映画) – Wikipedia
⚡ オキーフ版の特色
- 体重110キログラムの圧倒的な肉体美
- フットボール選手出身の運動能力
- ジェーンの視点から描かれた新しいアプローチ
この作品は評論家からは酷評されたものの、製作費650万ドルに対し興行収入3650万ドルという商業的成功を収めました。「史上最悪の映画」という評価もある一方で、多くの観客に愛され続けている作品でもあります 。
ターザン最新作アレクサンダー・スカルスガルドの革新
2016年の『ターザン：REBORN』で新たなターザン像を提示したのが、身長194センチメートルの北欧美男、アレクサンダー・スカルスガルドです 。
参考）https://style.nikkei.com/article/DGXMZO04990710Z10C16A7000000/
この作品では、ジョン・クレイトン（スカルスガルド）がロンドンで美しい妻ジェーンと文明的な生活を送っているという設定から始まります。従来のターザン映画とは異なり、文明の中で目覚める野性というテーマを扱った革新的なアプローチでした 。
🎭 現代版ターザンの特徴
- 文明と野性の対比を深く掘り下げ
- サミュエル・L・ジャクソンやマーゴット・ロビーとの豪華共演
- CGIを駆使した現代的な映像表現
スカルスガルド版は、従来のターザン映画の枠を超えて、現代社会における人間の本質的な問題を問いかける作品として評価されています。北欧出身の俳優ならではの知性と野性を併せ持つキャラクター造形が印象的でした 。
ターザン映画史に隠された意外な真実とエピソード
ターザン映画には一般にはあまり知られていない興味深い事実が数多く存在します。まず、ターザン映画の歴史は驚くほど長く、1918年に最初の作品が生まれてから2016年の最新作まで、実に100年間で50本もの作品が製作されています 。
最も意外な事実の一つが、ワイズミュラーの晩年のエピソードです。ハリウッドの精神病院で、現実とターザン役を混同したような奇行を重ねていたという記録が残されており、それほどまでに彼にとってターザン役は人生と一体化した存在だったのです 。
🎪 知られざるターザン映画の舞台裏
- 1950年代には”ターザン大会”という特別上映イベントが開催
- 山川惣治の絵物語『少年王者』はターザンの影響を受けて誕生
- 当時の少年たちは誰でも木の縄でターザンごっこを楽しんでいた
また、2024年には長年テレビドラマ版でターザンを演じたロン・エリーが86歳で死去するという悲しいニュースもありました。1966年から68年までNBCのドラマ「ターザン」でタイトルロールを演じ、撮影中にはライオンに襲われるという危険な経験もしていた彼の死は、ターザン映画史の一つの時代の終わりを象徴する出来事でした 。
参考）「ターザン」俳優が死去、86歳 撮影中にはライオンに襲われた…
さらに興味深いのは、ターザンというキャラクターが時代とともに舞台を変えていることです。従来のアフリカのジャングルから、インドのマハラジャのもとでダム工事の象を救う話や、南米アマゾンでの冒険など、グローバルな展開を見せています 。これは現代の国際的な環境問題への関心とも合致しており、ターザンが単なる娯楽作品を超えた社会的メッセージを持つキャラクターとして進化していることを示しています。
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